『通信が途絶えた』
鹿児島県にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたSS520-4がロケットの
状態を示すテレメトリーを受信しなくなり、2段目への点火を断念してしまいました。
小型のロケットなので、点火を制御するコンピュータを積み込むスペースがない為
地上から点火の可否判断をして指令コマンドを送る必要があるらしいです。
2段目までは過去に何度も実績のあるものを使用されていた為、原因の追究が
待たれています。
今年の1月15日の出来事でご存知の方もあると思いますが、このロケットの3段目
に私達が基板設計に携わったTRICOM-1が搭載されておりました。
とても小さな衛星なのですが、衛星の各面にカメラが搭載されていて、どのアングル
からでも地球が撮影できる優れものです。
衛星を軌道投入出来なかったことはほんとに残念でしかたがないのですが、
衛星自体はタイマーでロケットから分離され、海に落ちるまでの間、声(電波)を
出してくれていました。
衛星の設計に携わるようになってから約10年が過ぎ、最初の数年は動く動かないと
いうことが気になって仕方ありませんでしたが、近年は実績を重ね、何年動き続けるか、
新たに何が出来るかといったことに目線が変わってきました。
10㎠以下の基板に様々な機能を詰め込みますので、部品配置は非常に密度が高くなり
、同時に熱結合をしないように発熱部品同士を離さなければならないという2重の試練
を乗り越えて形にしなければなりません。
TRICOM-1もそうやって作り上げた基板でしたので、ほんとに楽しみにしていたのですが
こればかりは仕方がありません。
衛星は同じものが作れるので、次の機会を心待ちにしたいと思います。